http://karapaia.livedoor.biz/archives/52178207.html引用

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 最近発表された研究によると、年を取った親のもとに生まれた子どもの方が、全般的に健康状態が良好であることが明らかとなった。

 ニュージーランドの研究者が実施した本調査は、初出産の平均年齢が上昇傾向にあり、50代でも出産する女性が増えていることを受けて実施された。今夏、イギリスでは女性の初出産の平均年齢が初めて30歳を超えており、日本やオーストラリアと同じ水準に達した。これはヨーロッパで最も高く、アメリカの25.8歳と比較すると突出して高い。

この研究では、平均年齢46歳の男性70人を対象に健康診断を行った。その結果、親が年を取ってから生まれてきた子どもは46歳になった時点で、血圧が低く、コレステロール値やグルコース代謝も良好であることがわかった。糖尿病のリスクは明らかに低く、これは太り過ぎの中年男性であっても同様の傾向にあったそうだ。

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 さらに、今夏発表されたバークベック・ユニバーシティ・オブ・ロンドンとユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者による調査でも、40歳以上の女性が出産した子供は、肉体的にも健康的にもより良好な状態にあると主張している。

 彼らによれば、年を取った母親の子供は、20代の母親の子供と比べて、3歳までに怪我をする確率が22パーセント低く、入院する確率も3分の1程度である。また両親と子供の喧嘩も減ることから、情緒的にも安定している傾向が見られた。

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 これまで、高齢出産の女性は、出産時に流産や子宮外妊娠、ダウン症などの子供の遺伝子疾患を発症するリスクが高くなると警告されてきた。さらに高血圧や糖尿病、胎盤の異常も増加し、特に40歳以上の出産の場合、若い女性と比べると流産するリスクが3倍にも跳ね上がるので注意が必要であるというのが定説であった。

 こうしたリスクは必ずしも女性の年齢だけを要因とするものではない。最近の研究では、高齢男性を父親に持つ子供も、遺伝子疾患、自閉症や統合失調症、小人症や口蓋裂などの発達障害のほか、アルツハイマー病や双極性障害、心疾患や癌を発症するリスクが上昇することが判明している。40代男性の子供が遺伝子疾患を持つリスクは、20代男性と比べると2倍に達するそうだ。

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 これは男性の精子の質が老化に伴い劣化することが原因である。睾丸内の細胞は16日毎に分裂し、各細胞内のDNAがコピーされ、新しい精子に与えられる。こうしたDNAのコピーは通常なら正確に行われるが、ときに間違いが起こることもある。そのため遺伝子変異と呼ばれるDNAに誤りを持つ精子が生まれてしまう。

 男性が年を取るにつれて、DNAコピーの精度が徐々に衰え、遺伝子変異を持つ精子の数が増えることになる。この精子が卵子によって受精されると、生まれてくる子供が成長の過程で何らかの問題を発症する可能性も高くなってしまう。

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母親の第1子出産平均年齢が30歳に到達(英国)

 今回の研究はこうした定説に反するものであり、出産年齢が上昇している現代においては朗報と言えそうだ。なお、現在のところ、その原因が年を取った母親と父親のどちらにあるのかは不明であり、これが先天的なものなのか、それとも子育てによるものなのかもはっきりしない。

ちなみに日本の第1子出生時の母の平均年齢は30.4歳 (2013)となっている。平均年齢は2011年に初めて30歳を超えて(30.1歳)以降、2012年は30.3歳、2013年は30.4歳と、引き続き上昇傾向にある。ちなみに約30年前にあたる1985年当時は26.7歳であった。